第121章

「西子……」

電話を切った途端、星がさっそく芝居を始めた。

「痛い」

星は手を上げ、手首の傷を私に見せつける。

……さっきの、白野恵美との通話を聞いてたのかもしれない。だから今、私を行かせないために必死なんだ。

「お医者さんが処置したんじゃないの?」

私は星の手首を取って、ちらりと確認する。

「痛いって分かってるのに、なんで自分を傷つけるの」

星は悔しそうに眉を下げ、かすれた声で言った。

「西子……俺たち、ここに引っ越して暮らそう。二人で」

早山家に、私を戻したくない。

――お爺さんは早山家で勝手に朽ちていけばいい、ってことだ。

「俺たちには家がある」

星はまっすぐ...

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