第157章

「西子?」

「西子……」

意識が、ゆっくりと浮上してくる。誰かが、私の名前を呼んでいた。

藤原浩史だ。

「鈴宮叔父さん……彼女、様子がおかしくないですか?」

藤原浩史が焦った声で、鈴宮賢二に問いかける。

「俺が渡した薬は、ちゃんと時間どおり飲ませてるのか」

鈴宮賢二が短く訊いた。

「毎回、俺が見届けてます。間違いありません」

「記憶の消去と再構築は、一度で終わるものじゃない。今の段階で、完全に記憶が抜けてるはずがないんだ」

鈴宮賢二は低い声で言い切る。

「もし忘れているように見えるなら、むしろ警戒しろ。演技の可能性がある。俺の言ったとおり、心理暗示を繰り返せ。環境刺激も...

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