第158章

「……ふっ」

星の冷たい嘲笑が耳に刺さった。

逃げて。早く、逃げて。

藤原浩史は――最低の男だ。

「西子は、おまえについて行かない」

藤原浩史は低い声で言い、ボディガードに合図した。

「まさか……俺が一人で来たとでも?」

星は笑っていた。掠れた声は氷みたいに冷たく、そのせいで余計に、背筋を押し潰すような圧がある。

「浩史……」

扉の外から、白野恵美の震える声。

必死にまぶたをこじ開けた瞬間、目に飛び込んできたのは――キャップを目深にかぶった背の高い影が、ナイフを白野恵美の喉元に当てている光景だった。

星は、一人じゃない。

その事実に、私は逆に息をつけた。

「浩史……...

ログインして続きを読む