第160章

「ふん」

助手席で、羽岡宇京がまた鼻を鳴らした。

私は首をかしげてそっちを見て、星に小声で聞く。

「なんか……あの人、ちょっとアレな感じじゃない?」

星の瞳がすっと沈む。どこか投げやりに言った。

「鼻炎だよ」

その言い方が、三割は適当で、七割は脅しで――。

案の定、助手席の「鼻炎のイケメン」は黙り込んだ。

改めて羽岡宇京を観察する。背が高くて、後ろ斜めからだと顔が見えない。しかもキャップまで被ってる。

目鼻立ちは判然としないのに、雰囲気だけで「こいつ絶対モテるだろ」って分かるタイプ。声も若い。たぶん少年。

そして予想どおり、車はまずHY高校の正門前で止まった。

少年が露...

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