第167章

「西子……」藤原浩史は焦った様子で、私を連れて行こうと腕を引いた。「先にこっち来い。もう通報された。俺が何とかする」

人だかりの中で、白野恵美が甲高く悲鳴を上げた。わざと騒ぎを大きくしてから、怯えた顔で藤原浩史を見る。

「浩史……これ、誰かが人を殺したの?」

藤原浩史は眉を寄せる。

「まだ死んでない」

「浩史……どういうこと? まさか汐瀬が……」白野恵美はわざと私を一瞥し、私の服に飛び散った血に目を見開いた。「汐瀬、やりすぎだよ……どうするの? 故意の殺人だよ、刑務所行きだよ」

藤原浩史の顔色は冴えない。私の手首を掴んだ手は、離そうとしなかった。

「いいから来い。俺が保釈の手、...

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