第169章

「……ふん」

古宮信也が目を細めた。

「度胸があるな。普通の人間なら、あんなふうに死体が食い荒らされてたら、反射で吐く。おまえ、妊娠してるんだろ? 吐き気はしないのか」

喉がからからで、私はごくりと唾を飲み込み、ぎこちなく笑った。

「そもそも……あっちは、見ないようにしてました」

古宮信也は鼻で笑い、意味深に言い捨てる。

「林原汐瀬。おまえも、真っ白じゃない」

背筋がひやりとした。

「……どういう意味ですか」

「俺が必ず、手で捕まえる」

答えになっていない。なのに、それは誓いみたいに重かった。

――彼は、自分の手で犯人を捕まえるつもりだ。

そして彼は、犯人が早山司だと...

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