第176章

藤原浩史の傷口の手当てが終わると、彼は私のそばまで歩み寄ってきた。

「西子……帰ろう」

ぼんやりしていた意識が、はっと現実に引き戻される。

「……あなたは、ひとりで帰って」

今回の殺人事件は、ますますややこしくなっている。

星はどうなっているんだろう。鈴宮賢二の手の中にいる以上、きっと――生き地獄だ。

精神病院なんて、人がいる場所じゃない。

「君を守れるのは俺だけだ」

藤原浩史は眉を寄せ、私の手首を掴んだ。

「わがまま言うな」

「今は、あなたと帰りたくない」

私はその手を振りほどく。

帰って白野恵美の顔を見たら、腹が立つに決まってる。

明日のチャリティー・ガラに出る...

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