第178章

「鈴宮先生……」

傍らの医師が言い淀む。どう考えても、人道に反している。

良心のある医者なら、精神疾患の患者をこんなふうに痛めつけたくないはずだ。

星は精神病者かもしれない。けれど――人間だ。

彼らは視線をそらし、怒りを飲み込むしかなかった。

H市精神病療養院。院長の次に権力を握っているのは、鈴宮賢二。

しかも院長の婿だ。実質、いちばん発言力がある。

誰も逆らえない。

疑うことすら、できない。

鈴宮賢二は冷えた目で医師を一瞥した。

「こういう実験データは、そう簡単に手に入らない」

私は星の手をぎゅっと握りしめ、鈴宮賢二を睨みつける。

「悪鬼は、あんたのほうよ」

鈴宮...

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