第210章

「――あいつは保釈される」

星はそう言い切った。黒谷浩也が留置場から出てくる手立てを、あいつなら持っている。そんな確信が声に滲んでいる。

古宮信也が何か言いかけたが、星はもう電話を切っていた。

私は恐る恐る彼を見上げた。林原汐瀬は善良で、あんな悪事に手を染める人じゃない。そう分かっていても、黒谷浩也と鈴宮賢二が最初から汐瀬を嵌めるつもりで動いていたら――。

「怖がるな」

彼は私の頭をくしゃりと撫でた。

たったそれだけで、胸の奥のざわつきが少しだけ静まる。……なのに同時に、自分でも厄介だと思う。星に寄りかかってしまう、この感覚が何なのか、うまく言葉にできない。

「警察から事情聴取...

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