第30章

「おまえなんかお荷物なんだよ。いつまでも俺の兄貴にまとわりつくな」

大学に入った年、崎原傑と私は同級生だった。学部は違ったけれど、どちらも1年生。

私は気が弱くて、聞こえないふりをした。

けれど彼は引かなかった。

「本川西子さぁ、毎日なに偉そうにしてんの? 親もいないくせに藤原家に飼われてるだけのちっせぇクズが。兄貴がおまえを置いてんのは、寝床あっためるためだろ。自分がお嬢さまだとでも思ってんの?」

崎原傑の周りの連中が、げらげら笑った。

あのとき、頬がかっと熱くなって、悔しくて泣きそうだった。

崎原傑は仲間を引き連れ、私を囲んで、汚い言葉を浴びせ続けた。

逃げようとして身を...

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