第70章

「西子……」

星は耐えるように、うつむいたまま私の首筋にそっと口づけた。

避けたいのに、逃げ場がない。

「俺たち、夫婦だろ……」

それは私に言い聞かせているようで、同時に自分自身へ言い聞かせているみたいだった。

少し――いや、かなり危うい。こういう人は、正面から考えを変えさせようとしても無理だ。時間をかけて、じわじわ染み込ませるしかない。

「もう寝て。熱で頭がぼーっとしてるんだよ……」

寝かしつけようとしても、星は動じない。

私の両手を押さえたまま、まっすぐに目を見てくる。

「西子……」

名前を呼ばれて、

「好きだ」

告白だった。

心臓が、ひゅっと縮む。

生まれ変...

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