第85章

「――もう、あいつを好きにならないで……」

早山司の部屋に入った瞬間、私は壁へ押しつけられた。背中にひやりとした感触が走り、息が詰まる。

「もう、好きになるな」

彼が言っているのは、藤原浩史のことだ。

「……好きじゃない」俯いたまま答える。声が掠れて、自分でも驚くほど弱々しい。

「嘘だ……」司は低く吐き捨てた。

「わたし……」説明しようとした。けれど顎を取られ、次の言葉は唇ごと塞がれてしまう。

熱い。呼吸も、部屋の空気も、全部が熱を帯びているみたいだった。

それでも私は、彼が怖い。司が本気になると、人は簡単に怯える。「……星……」

私が彼を「星」と呼ぶと、理性が少し戻る。そ...

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