第96章

「……まだ息がある」

星が傍らの人間を押しのけて駆け寄り、男の首筋に指を当てた。すぐに、力なく首を振る。

「……もう無理だ。助からない」

陸田哲が救急へ通報する。

藤原浩史は、こんな血の匂いのする現場を見たことがないのだろう。顔色を失い、反射的に数歩下がった。

他の連中は外へ飛び出して嘔吐した。出入りの足跡だらけで、現場はほとんど踏み荒らされている。

「……死ぬ時間まで、計算してた」

星は床にしゃがみ込み、声がわずかに上ずった。

「俺たちが何時に来て、何時に見つけるか……全部読んでた。俺たちに、死ぬところを見せたんだ」

本川西子のときと、同じ。

私は痺れたみたいに一歩だけ...

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