第6章

 警察は霊安室の職員に呼ばれて来た。

 二人の殴り合いはあまりにも激しく、廊下の椅子が次々となぎ倒されていた。警官が踏み込んだとき、海人の口端は切れて血がにじみ、保志はシャツの襟元を引き裂かれている。どちらも、まだ終わらせる気配がなかった。

 無理やり引き剥がされ、手錠をかけられ、それぞれ別々の車に押し込まれるまで。

 鉄扉が閉まる音がした。その一撃が、釘みたいに胸の奥へ打ち込まれた。

 海人は壁に背を預け、ゆっくりと床へ座り込む。壁一枚隔てた向こうで、保志の気配が聞こえた。最初は扉を叩く音。次に、喉を押し殺した怒鳴り声。そして――長い沈黙。

 目を閉じる。勝手に、思考が過去へ引き...

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