第3章
四本目の電話をかけている最中に、キッチンの明かりがちらついた。
おばあちゃんが入り口に立っていた。古びた部屋着に身を包み、白髪を肩に下ろしている。午前三時、ノートパソコンを開き、携帯電話を耳に押し当ててキッチンテーブルに座る私を、おばあちゃんはただじっと見つめ、一言も発さなかった。
私は電話を切った。「起こしちゃった?」
「もうあんまり眠れないんだよ」おばあちゃんは足を引きずるようにカウンターへ向かい、お茶を淹れ始めた。「年寄りの体だし、心配事も尽きないからね」
私は、何千回も繰り返してきた人の手際よさでキッチンを動き回る彼女を目で追った。結婚式のために両親の家に泊まっていたのだが、私を育ててくれたのは実質おばあちゃんだった。両親が玲奈のわがままや騒動にかかりきりだった時、いつもそばにいてくれたのは彼女だったのだ。
おばあちゃんは私の前にカップを置くと、向かい側の椅子に腰を下ろした。その瞳は相変わらず鋭く、私の顔をじっくりと観察した。
「話しなさい」
それは質問ではなかった。
「何でもないよ、おばあちゃん。ただ、結婚式直前の準備でバタバタしてるだけ」
おばあちゃんは鼻を鳴らした。「歩美、あんたが歩けるようになる前から知ってるんだよ。嘘をついているかどうかもわからないとでも思ってるのかい?」
喉が詰まる思いがした。一瞬、すべてを話してしまいたい衝動に駆られた。醜い真実をすべてぶちまけ、おばあちゃんに抱きしめられて泣きたかった。
けれど、泣いている時間などない。やるべき仕事があるのだ。
「一つ、聞いてもいい?」私は代わりにそう言った。
おばあちゃんは待っていた。
「もし誰かがおばあちゃんのものを盗んだら――本当に大事なものを盗んだとしたら、どうする?」
長い沈黙が流れた。静寂の中で、電気ポットがゴボゴボと音を立てる。
「私が若かった頃」おばあちゃんはようやく口を開いた。「近所の女が、私の母のレシピを盗んだことがあった。街のレストランに売りつけて、自分の手柄にしたんだよ。母は何日も泣いていた」
「お母さんはどうしたの?」
おばあちゃんの目がきらりと光った。「母はね、その女が盗んだものを喉に詰まらせるように仕向けたんだよ。そのレシピには隠し味があってね。母はそれを変えたんだ。ほんの少しだけ。でも、食べた人全員が『何かが違う』と気づくには十分だった。泥棒が、自分には理解できないものを盗んだのだと知らしめるには十分だったのさ」
私はその言葉を心の中で何度も繰り返した。「つまり、直接問い詰めなかったってこと?」
「直接問い詰めるなんて、素人のすることだよ」おばあちゃんはテーブル越しに手を伸ばし、私の手に自分の手を重ねた。「最高の復讐はね、歩美。一言も発さずに、全員に真実を目の当たりにさせることさ」
何かがカチリと音を立ててはまった気がした。
「ありがとう、おばあちゃん」
彼女は私の指を強く握った。「何が起きているのかは知らないけれど、あなたのことはわかっている。どんなことでも、あなたなら解決できるわ」彼女は少し間を置いた。「忘れないで。あなたは高橋家の人間よ。私たちは折れたりしない。しなやかに曲がって、そして必ず立ち直るの」
私は心からの笑みを浮かべることができた。バスルームでの一件以来、初めての本当の笑顔だった。
その後、おばあちゃんは足を引きずりながら部屋に戻っていったが、私は起き続けていた。かけるべき電話がある。送るべきメールがある。調整すべき手配がある。
披露宴での「特別なビデオ上映」について会場スタッフに連絡を入れた。急な追加ゲストについて会場のコーディネーターに連絡した。そして翔太の会社――去年私がプランニングした結婚式で人事部長と面識があった――の代表番号に連絡し、「お話ししたいことがある」と伝えた。
夜が明ける頃には、すべての準備が整っていた。
到着した時、ブライズルームは慌ただしい雰囲気だった。ヘアスタイリストにメイクアップアーティスト、テーブルには乾杯用のシャンパンが用意されている。玲奈はすでにそこにいて、花嫁付き添い人として母の手伝いをしながら、私のベールを整えてくれていた。
「来たわね!」玲奈が駆け寄ってきて私を抱きしめた。「気分はどう? 緊張してる?」
あんたの正体、ちゃんとわかってるわよ。
「ワクワクしてる」私は言った。「ただ、楽しみで仕方がないわ」
メイク中に真理子がやってきた。彼女は化粧台に寄りかかり、メイクアップアーティストが私にメイクをしている様子を眺めていたが、私を観察しているのがわかった。
「なんか変よ」彼女は静かに言った。
「結婚するんだもの。変にもなるわよ」
「ううん、そうじゃない」彼女は声を潜めた。「その目つき。業者がミスをして、どうやって尻拭いしようか考えてる時の顔よ」
さすが真理子。彼女にはいつもお見通しだ。
「何も問題ないわ、真理子」
彼女は納得していないようだったが、それ以上は言わなかった。「わかった。でも、もし何かあったら――」
「真っ先に教えるわ」私は鏡越しに彼女と目を合わせた。「約束する」
ドレスは夢に描いていた通りのものだった。アイボリーのシルク、ヴィンテージレース、お姫様になったような気分にさせてくれる長いトレーン。これを見つけるために何ヶ月も費やした。この日のために貯金し、あらゆる細部まで計画してきたのだ。
そして今、これは別の意味でのショーになる。
私は姿見に映る自分を見た。完璧な髪。完璧なメイク。幸せな花嫁そのものの姿。
背後では、玲奈がインスタグラム用に自撮りをしている。母は静かに涙を流している。父は廊下を行ったり来たりして、時計を確認している。
誰一人として、これから何が起こるか想像もしていない。
ウェディングプランナーであり、私の同業者でもある佐々木花子が顔を覗かせた。「皆さん、あと五分です! 移動しましょう!」
彼女は私と目を合わせ、親指を立てて見せた。「完璧よ、歩美。長谷川さんは幸せ者ね」
自分がどれだけ不運か、彼はまだ何も知らない。
私はドレスを撫でつけ、最後にもう一度自分の姿を確認して、微笑んだ。
「さあ、始めましょう」私は言った。
