第100章 リハーサル

午後2時。飛行機は隣町の空港へ、揺れひとつなく滑るように着陸した。タラップへ続くドアが開いた瞬間、しっとりと温い風が頬を撫でる。薄井家のある街みたいな息苦しさもない。過去の細々した厄介ごとに絡め取られる感じもない。空気そのものが、自由のゆるさを孕んでいた。

名取佳奈はキャリーケースを引きながら機内を降り、ふっと顎を上げて陽射しを受け止める。眉間に居座っていた疲れが、半分ほど溶けた気がした。代わりに胸の奥に、久しぶりの軽さが差し込む。

陸野雲平が彼女の隣を歩き、さりげなく荷物を押してくれる。

その横で木村先生が、笑いながらからかうように言った。

「やっぱこっちは気候が人を元気にするねえ...

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