第11章 結婚写真を落としてしまった

長い歳月が流れて――彼女はようやく、自分として生きる勇気を手に入れた。

名取佳奈が帰宅したのは夜8時。玄関の扉を押し開けた途端、リビングのソファに薄井礼央と須藤唯が並んで座っているのが目に入った。

2人の前にはタブレット。そこでは、ある動画が再生されている。

距離があっても分かった。映っているのは須藤唯の誕生日。周りの連中は騒ぎ立て、挙げ句の果てに須藤唯を薄井礼央の胸元へ押し込んでいた。

薄井礼央は拒まない。それどころか、手を伸ばして彼女の頭に誕生日の帽子をそっと被せる。

その瞬間、誰かが大声で叫んだ。

「唯! 礼央と、ずっと幸せにな!」

刃物みたいな言葉だった。名取佳奈の胸の...

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