第111章 欠席

名取佳奈は画面に並ぶその一行を見つめたまま、指先をしばらく止めていた。けれど最後にしたことは、無表情で削除を押すことだけ。何年も残してきたスケジュールのリマインダーを、跡形もなく消し去った。

胸は痛まない。名残もない。彼に「おめでとう」の一言を送ろうという衝動すら湧かない。あるのは、波ひとつ立たない静けさだけだった。

もう終わったのだ。薄井礼央への気持ちは、彼に傷つけられるたびに削られて、とうに消え尽きている。

そして彼の誕生日も、彼の喜怒哀楽も、これから先は彼女と何の関係もない。

名取佳奈はスマホを置き、目を閉じる。意識はゆっくりと沈み、眠りへ落ちていった。

一方その頃。

薄井...

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