第113章 お粥が飲みたい

タクシーがようやく別荘の門前で止まった。薄井礼央は料金を払うと、ふらつきながらドアを押し開ける。

深夜の冷たい風が顔を打つ。けれど、目の奥にこびりついた酔いと執念までは吹き飛ばしてくれない。

冷えた壁に手をつき、一歩、また一歩と別荘へ入り込む。リビングは真っ暗で、灯りひとつない。人の気配もない。――帰れば、あたたかな明かりが点いていて、誰かが待っている。そんな都合のいい想像とは、まるで違った。

スイッチを押す。ぱっと光が広がり、広いリビングが一瞬で満たされる。それでも、骨まで刺すような冷たさだけが残った。

ソファはきちんと整えられたまま。ダイニングにも、湯気の立つ料理はない。ケーキも...

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