第12章 酔っ払い

名取佳奈はいつまでも落ち込んではいなかった。できるだけ早く気持ちを整えると、田中さんに散らかったままの部屋を片づけるよう頼み、自分はそのまま部屋へ戻った。

その夜、佳奈は浅い眠りを繰り返し、いくつもの悪夢を見た。夢の中で、薄井礼央のあの陰のある冷たい眼差しが、骨の髄にまで焼きつくようで――息が詰まる。

翌朝、佳奈はけたたましい着信音に叩き起こされた。

通話に出ると、受話口の向こうから木村先生の声がした。

「佳奈、あなたの昔の後輩がね、今日ピアノの演奏会をやるんだって。ちょうど私も行くところなの。あなたも一緒に来る?」

佳奈は一瞬で眠気が吹き飛び、迷いなく頷いた。

「木村先生、時間...

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