第145章 子供たちを放して

誘拐犯は、中島院長と孤児院の子どもたちを引き離し、このビルの別々の階に分けて閉じ込めていた。

三階のいちばん奥。光の届かない薄暗い部屋には照明などなく、窓の外から差し込む月明かりだけが、床一面の荒れた惨状をかろうじて浮かび上がらせている。

中島院長は冷たいコンクリートに身を丸め、抑えきれない痙攣に肩を震わせていた。きちんと整えられていたはずの髪は乱れ、頬や首筋にべったり張りつき、乾いた血と埃がこびりついている。

穏やかで慈しみに満ちた顔は、いまや紙のように白い。血の気はなく、唇はひび割れて皮がめくれ、異様なまでに青紫に染まっていた。

それだけではない。右のこめかみ寄りの額には、深い裂...

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