第150章 何者だ

彼は名取佳奈に身を寄せ、声を落として言った。

「ちょっと外で電話してくる。すぐ戻る」

そう告げると、入江陽向は席を立ち、廊下の曲がり角――人目のない場所まで歩いていって通話ボタンを押した。

次の瞬間、いつもの柔らかさが声からすっと消える。冷たく、沈んだ低音。迷いも情けも挟まない断定の響き。

「……話せ」

電話の向こうで、中島景冶が応じた。

「入江さん。名取家の三人、警察署に引き渡しました。こっちは拉致、傷害、監禁の証拠を全部まとめ終わってます。証言も物証も揃ってる。さらにこちらから圧もかけますんで、あいつらは一生出てこられません。重くいかせます。とことん追い込みます」

入江陽向...

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