第16章 彼女に強引なキスをする

薄井礼央は目を吊り上げ、獰猛に睨みつけた。

「お前、いい加減にしろ。俺たちの問題に唯は関係ないだろ。……それとも何だ。そんなに離婚したがるのは、新しく知り合った男がいるからか?」

名取佳奈は、言葉を失った。

薄井礼央との間には、見えない壁がある。互いに互いの声だけを投げ合って、噛み合う気配がない。

この五年間、彼女はただ、薄井礼央を愛しているという気持ちだけで耐えてきたのだ。

「好きに思えばいいわ。あなたが『あの人のせい』だって言うなら、そういうことにしておけば。私、説明することなんて何もない」

名取佳奈が彼を振りほどこうとした、その瞬間。

薄井礼央は唐突に彼女のうなじを掴み、...

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