第20章 彼女を最も愛する人

名取佳奈は何も言わず、目を閉じて眠ったふりをした。

車内はふたたび沈黙に包まれる。

薄井礼央は佳奈を家まで送り届けると、慌ただしく去っていった。

名取佳奈は大きな窓の前に立ち、遠ざかる背中を見送る。胸の奥がきゅっと酸っぱくなるのに、前みたいに引き裂かれるような痛みは、もうなかった。

少し休んで、適当に麺でも茹でようかと思ったところで、須藤唯からまた写真が届いた。

白いウェディングドレスの須藤唯。その隣に、黒いスーツ姿の薄井礼央が立っている。目元には笑みさえ浮かべて。

二人はあまりにも絵になっていた。まるで選ばれた者同士の、完璧な並び――自分さえいなければ、須藤唯が帰国したその瞬間...

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