第27章 彼の物を全部売った

名取佳奈は、かえって滑稽さが増したように感じた。

百万円を優に超える結婚指輪の価値など、薄井礼央にとっては――数十元もしないアルバム一冊にも及ばないのだ。

そう思った瞬間、佳奈は顔を上げ、木下香織に視線を向ける。唇の端が、ふっと持ち上がった。

「それで結構です。できるだけ早く現金化して、私の口座に振り込んでください」

言い終えた、そのとき。

佳奈の視界の端に、見覚えのある姿が滑り込んだ。

須藤唯。

……本当に、因縁めいている。どうして外に出るたび、こうして須藤唯にぶつかるのだろう。

須藤唯はカウンターの前で宝飾品を選んでいて、真剣な横顔のまま、佳奈の存在には気づかない。

佳...

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