第42章 彼に見られるのが怖い

名取佳奈は、ふいに可笑しくなった。

薄井礼央は、彼女が苺のショートケーキにアレルギーがあることは覚えていないくせに、皿の上のパクチーだけは丁寧に取り除いてみせる。

その「優しさ」が、どこまで本物でどこからが作り物なのか。もう、確かめたいとも思わない。

習慣と気遣いは、愛じゃない。

薄井礼央はどこまでも周到に世話を焼ける。けれど、肝心の心だけは一欠片も渡してくれない。

「薄井礼央、無駄よ」

パクチーのなくなった皿を見つめる名取佳奈の目元が、じわりと熱を帯びる。それでも声は揺れなかった。引き返す余地なんて、最初からない。

「どんなに優しくされても、それは愛じゃない。あなたの罪悪感も...

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