第44章 一晩中、乱れた

「先輩、どこにいるんですか? 連絡、返ってこなくて……何かあったんじゃないですか?」

陸野雲平のその問いは、半分は分かっていて口にしたものだった。

先輩が薄井礼央に連れて行かれた――その情報自体は、彼の耳にももう入っている。けれど様子が気になる。何より、メッセージが返ってこない。だからこうして電話をかけたのだ。

こんな言い方なら、先輩だって「出しゃばられた」とは感じにくい。

陸野雲平の声は、闇を裂いて差し込むあたたかな光みたいに、名取佳奈が必死に貼りつけていた強がりの仮面を一瞬で貫いた。

口を開いた瞬間、声が勝手に震える。掠れて、ひどくみっともない。

「……大丈夫」

たった一言...

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