第52章 ぼったくる

中島院長は名取佳奈の姿を見つけるなり、すぐに駆け寄ってきた。だが、彼女の後ろをついてくる薄井礼央を認めた途端、目の奥にあからさまな不快が走る。

「佳奈。どうして旦那さんまで一緒なの?」

名取佳奈の置かれている事情を知って以来、中島院長は薄井礼央に対して、まともに笑顔を向けたことがない。

名取佳奈は余計なことは言わず、中島院長と子どもたちと一緒に、奥へと歩いていった。

薄井礼央は少し距離を置いて、ゆっくり後ろを歩く。視線が孤児院の建物をなぞり、眉がわずかに寄った。

古い。壁はところどころ剥げ、遊具には錆が浮いている。設備は全体的に簡素で、正直、整っているとは言いがたい。

初めてここ...

ログインして続きを読む