第63章 条件

「いいわ」

名取佳奈は小さくうなずき、間髪入れずに二つ目の条件を突きつけた。

「それから――あなたは公の場、ステージの上で須藤唯との関係をはっきり否定して。特別な関係なんて一切ないって、噂を全部断ち切るの。ついでに、私たちの結婚写真も公式に出して。みんなに知らしめてちょうだい。名取佳奈こそが、薄井礼央に正々堂々迎えられた妻だって」

その言葉が落ちた瞬間、須藤唯の顔色はみるみる悪くなった。指先が服の裾をぎゅっと掴み、爪が掌に食い込む。

彼女はずっと外に向けて匂わせてきたのだ。自分こそ薄井礼央の想い人で、名取佳奈は正妻の席に座っているだけの飾り――命の恩を盾に薄井家へ入り込んだ女だと。

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