第64章 法律上の夫婦

薄井礼央は我に返った。表情に大きな変化はない。

「このあと仕事がある。傷の処置も終わったし、送っていく」

須藤唯は唇を尖らせた。明らかに帰りたくない顔だが、薄井礼央がそう言った以上、ここに居座るわけにもいかない。渋々うなずく。

「じゃあ、佳奈のこと……ちゃんと説明してよ。私、わざと怒らせたんじゃないから」

薄井礼央は短く応じ、そのまま須藤唯を家の外まで送り出した。

夜十時過ぎ。

名取佳奈がうつらうつらと眠っていると、背後から力強い腕が回り、ぎゅっと抱き寄せられた。

朦朧としていた意識が、腰にのしかかる重みで一気に冴える。佳奈は振り返らないまま、先に身体だけがこわばった。指先がシ...

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