第71章 何を格好つける必要がある?

「佳奈さん! 転んでケガしたって聞いたけど、大丈夫!? 痛くない!? どこの病院? 今すぐ行く!」

陸野青子の切羽詰まった声に、名取佳奈はくすりと笑った。

「大げさだよ。擦り傷程度。たいしたことないから」

それでも青子は引き下がらず、病院名と病棟まで根掘り葉掘り聞いてくる。佳奈は観念して場所を伝えた。

――なのに、二時間後に病室へ現れたのは陸野雲平だった。

「……どうして雲平くんなの? 青子は?」

名取佳奈が首を傾げると、陸野雲平は銀色の保温ポットを提げたまま入ってきて、困ったように肩をすくめた。

「あいつ、騒がしいだろ。先輩の休養の邪魔になると思って、来させなかった」

近づ...

ログインして続きを読む