第77章 名取家の人は金を要る

翌朝。空がまだ白みきらないうちから、孤児院の子どもたちは起き出して、前庭で追いかけっこをしていた。

きゃらきゃらと弾む笑い声が窓越しに流れ込み、名取佳奈の眠りをほどく。

「ふぁ……」

佳奈は気だるく欠伸を噛み殺す。こんなふうに肩の力を抜ける朝は、久しぶりだった。

身支度を整えると、簡素な部屋着のようなカジュアルに着替え、階下へ降りて中島院長の手伝いに回る。子どもたちの朝食の準備だ。お粥の鍋を運び、器を並べ――。

その次の瞬間。

孤児院の門が、どんどんどんっ、と乱暴に叩かれた。急かすようで、無遠慮で、院内の穏やかな空気を一息で引き裂く音。

不思議そうにした子どもが駆け寄って、門を...

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