第80章 必ず謝罪する

その匂い袋は、彼女が三晩かけて薬湯のように香りを煮出し、針と糸で一針一針縫い上げたものだった。中に仕込んだ鎮静の香りも、わざわざ人づてに遠方から探してもらった高価な香料を、丁寧にすり潰して調合してから詰めたものだ。

渡した日のことも、はっきり覚えている。

「これ、気持ちが落ち着くから。持ち歩いてね」

そう薄井礼央に恐る恐る言ったのに、彼は受け取っただけで、それきり一度も口にしなかった。

捨てたのか、どこかの隅に放り投げて埃をかぶらせているのだろう――名取佳奈はそう思っていた。

まさか。

その「心意気」が今、須藤唯のバッグにぶら下がり、彼女の自慢の道具になっているなんて。

須藤唯...

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