第92章 遅れてきた罪悪感

彼女の言葉は一つひとつが胸を抉った。薄井礼央は言い返すことすらできず、顔色を失っていく。胸の奥で膨らむのは、罪悪感と自己嫌悪ばかり。

名取佳奈の身体に残る擦り傷、血の気の引いた頬――それを見て、ようやく理解した。

自分がどれほど最低なことをしたのか。

自分の手で、妻を絶望の縁へ追い込んだのだと。

薄井礼央は、これまでの傲慢さも強引さも、すべて投げ捨てた。掠れた声には、かすかな弱さが滲む。

「佳奈……全部、俺が悪かった。帰ろう。な? もう二度と、お前に嫌な思いはさせない。危ない目にも遭わせない。ちゃんと大事にする。埋め合わせもする……だから、帰ろう」

頭を下げるその姿を見ても、名取...

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