第95章 選択

個室の空気は、いったん凍りついたかと思えば、すぐにまた温度を取り戻した。皆が口々に囃し立て、からかい混じりの笑いを飛ばす。

「やっぱ礼央は覚えてるなあ。唯の好きなもの、全部把握してんじゃん。甘やかしすぎだろ」

「ほんとそれ。これ、奢りの飯っていうより、唯のための献立じゃん。うらやまし~」

「礼央、唯に優しすぎ。こんな気が利く人、誰だって欲しいって」

ひゅうひゅう、と軽薄な調子の冷やかしが重なる。

須藤唯はそれを聞いた途端、頬にふわりと赤みを差し、薄井礼央を見上げた。瞳には愛情と、隠しきれない得意げな光。――それからわざと名取佳奈へ視線を滑らせ、申し訳なさそうな顔を作って、柔らかい声...

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