第98章 離れる

席に着くなり、薄井礼央は手慣れた様子で料理をいくつか注文した。わざと味の強くない、口当たりのやさしいものを選んで――名取佳奈の機嫌を取ろうとしているのが見え見えだった。

けれど彼は、佳奈が本当に好きなものを相変わらず覚えていない。ただ自分の感覚だけで、いかにも上品そうな皿をテーブルいっぱいに並べただけ。

食事が始まってからも、薄井礼央は何度も佳奈の皿に取り分け、当たり障りのない話題を探して空気を和らげようとする。だが佳奈は終始うつむいたまま、黙々と口を動かすだけで、彼の過剰な親切をまるで見ていないかのように受け流した。

――たぶん、もうすぐ本題に入る。

案の定、半分ほど食べたところで...

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