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バルコニーに出ると、ひんやりと澄んだ朝の風が頬を撫でた。太陽はゆっくりと昇り、完璧な空を黄金色に染め上げていく。美しい一日の始まりになるはずだったが、そこに喜びは見出せなかった。私の心は耐え難いほどに重く、胸の内で抱え続けるにはあまりにも苦しい重荷だった。

ようやく、かつてないほど鮮明な形で悟りが訪れた――自分はどれほど愚かで世間知らずだったのだろう、と。ハドリアンとセレーネはただの夫と妻ではない。彼らは王と女王なのだ。一方で私は、かろうじて「まともな」愛人という、危うい称号を手にしているに過ぎない。もし人間の世界の王子から求婚されたとしても、私が彼に到底及ばず、女王になどなれるはずもない...

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