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深呼吸を一つしてから、ケンゾウの本棚へと歩み寄った。指を少しの間さまよわせてから、紙のファイルの一つに手を伸ばした。静かな焦りを胸にページをめくり、彼の署名がある書類を探す。ない。胸が締め付けられる。床にファイルをいくつか下ろし、しゃがみこんで次から次へとページに目を通すが、どれも印刷された書類ばかり。手書きの署名はどこにもなかった。

そのとき、別のファイルの中に、手書きで殴り書きされた彼のイニシャル――K・L――がようやく目に入った。けれど、これでは私が求める証拠には到底ならない。苛立ちの混じったため息をつき、ファイルを丁寧に元の場所に戻す。私の意識はすでに、ケンゾウのデスクに山積みになった...

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