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誰にも気づかれずにここを抜け出せますように、と必死に祈った。せめて、彼らの戦いの混乱が、私が逃げるのに十分な時間、彼らの注意を逸らしてくれますように、と。どこへ向かっているのかは分からなかった――ただ、何かを、とにかく何かを見渡せる場所を見つけなければならないということだけは確かだった。足は本能的に動き、遠くにかすかな光が揺らめく舞台裏のエリアへと私を運んでいく。その光の正体は、電池式の小さなLEDランプだった。その弱々しい輝きは、私を取り巻く息が詰まるような暗闇よりはずっとましだった。

心底ほっとしたことに、舞台裏には誰もいなかった。私は震える息を吐き出し、逃げ道を探してあたりに目を走らせ...

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