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窓の外の世界を、まるで初めて見るかのように見つめた。景色はより鮮明で、色彩は深みを増し、光は強烈に輝いているように見える。中央の噴水、青々と茂る宮殿の庭園――見慣れた風景だ。だが、この視点は新しい。東棟にいた頃には見えなかった景色。それはつまり、私が本館に移されたことを意味していた。

その事実は、ほろ苦さを伴っていた。ここに来るために、私は死ななければならなかったのだから。

陽の光を全身に浴びてみる。不快感――痒みや灼熱感、刺すような痛み――が走るのを身構えた。だが、何も起こらない。肌は冷やりとしたままで、何の影響も受けていなかった。不思議に思い、私は手を持ち上げてしげしげと眺めた。

白...

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