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「タラッサ」

慎重な声が私の名前を呼び、意識の表層へと引き戻した。

目覚めは苦痛そのものだった。目を開ける力さえ湧く前に痛みが襲いかかり、血管を駆け巡る炎のように全身の神経を焼き尽くす。声にならない叫びが唇を歪めたが、音は漏れなかった。感覚は鈍り、耐えがたい灼熱感だけが残された。

「まだ血の中に銀が残っている。動かない方がいい――その方が痛みは少ない」と、低い声が忠告した。

意識がはっきりしてくると、自分がベッドに横たわっていることに気づいた。手首は枷で拘束され、マットレスの両側から鎖が伸びている。そして、冷たい金属の首輪が首を囲んでいた。声の言う通り、じっとしていると痛みは和ら...

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