31

モンテフォルテ投資銀行で最も嫌われている人間の従業員が、重い書類の箱を運ぶのを手伝おうとする者など一人もいないのは、驚くにはあたらない。むしろ、予想通りだった。これは私一人で片付けなければならない仕事なのだ。

もちろん、ハドリアンが誰か手伝いをつけるなんて考えるはずもなかった。通常の外部監査であれば、最低でも五人のチームが組まれる。だが、この監査は私が提案したものだったせいで、今や私は一人部署と化していた。もっとも、一人で働くのは気にしない。山のような書類仕事を誰の助けもなしにこなすのには、とうの昔に慣れている。

ただ、今回問題なのは、書庫から運び出すあの忌々しい箱だった。

一度に三箱...

ログインして続きを読む