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ハドリアンが指を鳴らすと、瞬く間に二人の召使いが法廷に入り、巨大な木製の椅子を運んできた。彼らはその椅子を儀式的に部屋の中央に置く。その壮麗さは、たちまちその場の注目を集めた。私の方を振り返ったハドリアンは、慇懃な笑みを浮かべながら手を差し伸べた。その笑みは温かいながらも、権威に満ちていた。ごくりと喉を鳴らすと、喉が締め付けられるのを感じたが、私は彼の手を取り、証人席へと導かれるままに従った。

その椅子に腰を下ろした瞬間、圧倒的な矮小さに襲われた。椅子の背もたれは私の頭上六十センチ近くまでそびえ立ち、そのあまりの大きさに、縁に浅く腰掛けても背もたれに届かない。足は宙に浮いたままで、自分がどれ...

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