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採血をしながらあれほど恍惚とする医者には会ったことがなかった。ブラックウェル医師の抑えきれない熱狂は、私の血が一滴試験管に落ちるごとに高まっていく。私を驚かせたのは、単なる強い興味だけではない。彼の狂気だ。そしてその狂気こそが、彼の魅力でもあった。一滴ごとに、彼はまるで世界最高級の香水を味わうかのように、うっとりとした表情を見せる。それでも心の奥底で、私の本能は囁いていた。彼の興奮は、邪悪な執着というよりは、科学的なスリルからくるものだと。

採血が終わると、彼は深々とお辞儀をし、私の血を検査させてくれたことに対して、これで五度目になる感謝を述べた。正直に言えば、好奇心に駆られた。彼の検査結果...

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