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これほど安らかに眠れたのは、いつ以来だっただろうか。疲労のせいか、失血のせいか、あるいは単にここ数日の混乱がどっと押し寄せてきただけなのか。理由はともかく、目覚めた私は奇妙なほどすっきりしていた。最初に気づいたのは、素肌を覆う冷たいシルクのシーツの感触だった。目を開けると、自然と唇に微かな笑みが浮かぶ。けれどすぐに我に返り、昨夜の出来事が閃光のように頭を駆け巡って、頬に熱が込み上げた。

とっさに両手を上げて顔を覆う。まるで自分の記憶から隠れられるとでもいうように。だが、手を下ろした時、ベッドにいるのが自分一人だと気づいた。一瞬、パニックに襲われたものの、すぐに部屋を見回した視線が、窓際に立...

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