第6章
ロナルドは私を見つめ、どうにか場を和ませようと無理に笑みを作った。
だが、それはただ苦渋に満ちた表情にしか見えなかった。
彼は何事もないかのように装い、オーバーコートについた朝露を数滴払い落として沈黙を破った。
「離婚届は読んだ。俺たちの間には……何か誤解があるんじゃないかと思うんだ」
私は門越しに彼を冷ややかに見つめ返した。「私が死ぬ思いで産んだ子を、アガサに引き渡したのも誤解だったとでも言うの?」
その言葉に、彼は押し黙った。
朝の風が鉄格子をすり抜けていく。私は静かに立ち尽くし、彼の返答を待った。
長く苦しい沈黙の後、彼はようやく絞り出すように低く呟いた。「...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
縮小
拡大
