第1章
鏡に映る自分を見つめた。十万ドルもするウェディングドレスは、自分で選んだものというより衣装のようで、その中に溺れてしまいそうだった。
「ソフィア、今日はきれいだよ」父が背後に現れ、震える手で私のベールに触れた。「君は、私の自慢の娘だ」
鏡越しに父の姿を捉える。微分積分の宿題や大学願書の作成を手伝ってくれたあの瞳が、今は涙で潤んでいた。この二十四年間、こんなにも打ちひしがれた優秀な教授の姿は見たことがなかった。
「お父さん、どうしたの？」胃がねじれるような感覚に襲われ、私は振り返った。「今日は喜んでくれるべき日でしょう？」
父は私と視線を合わせようとしない。「すまない、ソフィア。これは私たちだけの問題じゃない。もっと大事なことのためなんだ」
もっと大事なこと？ 全身から血の気が引いていく。「何の話をしてるの？ 娘の幸せより大事なことって、一体何？」
「いつか分かる日が来る」父は小さい頃にしてくれたように私の額にキスをした。「これだけは分かっておいてくれ。君のことを何よりも愛している、と」
いつかって？ もう二十四歳よ、十四歳じゃないのに。けれど、父の声に含まれた痛みが、それ以上問い詰めることをためらわせた。
執事がドアをノックした。「お嬢様、お時間でございます」
父の後に続き、邸宅の芝生へと向かう。そこでは、この都市で最も権力を持つ五百人もの人々が待ち構えていた。政治家、社長、旧家の名士――重要な人物は皆ここに揃っていた。カメラのフラッシュが花火のように絶え間なく光り、私はまるで動物園の見世物になったような気分だった。
イーサンは祭壇に、完璧な黒のタキシードに身を包んで立っていた。すべての女性が夢見るような理想の姿。しかし、視線が合った瞬間、彼の瞳は氷のように冷たく、よそよそしかった。
温かみも、愛情も、何もない。
結婚行進曲が流れ始め、私はまるで処刑台に向かうかのような気分でバージンロードを歩いた。ゲストたちは皆、練習でもしたかのような社交的な笑みを浮かべていたが、ひそひそと交わされる囁き声が耳に入ってくる。
「政略結婚ね、見え見えだわ」
「花嫁、怯えているように見える」
「ブラックストーン家も、ついに箔を金で買ったってわけね」
私は顔に笑みを貼り付け、きっと良くなる、と自分に言い聞かせた。イーサンもただ緊張しているだけかもしれない。これからお互いを愛せるようになるかもしれない、と。
牧師が式典を始め、すべては完璧に進んでいた。
指輪交換の、その時までは。
イーサンが私の手に指輪をはめようと手を伸ばした、ちょうどその時。群衆の中から、誰かが息を呑む声がした。
「あっ！」か細い声が上がった。「息が……息が、できない……」
全員の視線がそちらへ向いた。息を呑むほど美しいブルネットの女性が胸を押さえ、紙のように真っ白な顔で椅子に崩れ落ちるところだった。
イザベラ。
名前をかろうじて知っている程度の相手。なのに、イーサンがまるで灼熱の鉄にでも触れたかのように私の指輪を取り落とすのを、私はただ見ていた。
指輪は芝生の上に落ちて、かしゃりと小さな音を立てた。なのに、その音はなぜか私の全身に響き渡った。
「イザベラ！」イーサンは私の存在など忘れたかのように、彼女の元へ駆け寄った。
彼はまるで重さなどないかのように彼女をひょいと抱き上げた。今まで幾度となくそうしてきたかのような、手慣れた仕草で。彼女を見つめる彼の眼差し――必死で、優しくて、すべてを捧げているようなその眼差しが、私の胸を締め付けた。
「医者を呼べ！」と彼は叫び、私たちの結婚式から彼女を運び去っていった。
祭壇に立ち尽くしたまま、私は二人が消えていくのを見ていた。世界一の馬鹿になった気分だった。
五百人のゲスト、何十台ものカメラ。なのに、たった一人取り残された花嫁を気にかける者は、誰一人としていなかった。
司会者が気まずそうに咳払いをした。「えー、ここで……少々、休憩といたしましょうか」
「何なの、これ」
「可哀想に」
「一体何が起こったんだ？」
会場は噂話でざわついていたが、誰も私の様子を見に来ようとはしなかった。私はまるで打ち捨てられたマネキンのように、途方に暮れてそこに立ち尽くすばかりだった。
やがて、父が私の隣にやって来た。「さあ、ソフィア。中に入ろう」
その声は、ひどく打ちのめされているようだった。
夜の披露宴は、まるで何事もなかったかのように続けられた。
イザベラは車椅子に座り、悲劇のヒロインを完璧に演じきっていた。儚げでありながら輝くような美しさで、皆からの気遣いを優雅に受け止めている。
「ソフィアの特別な日を台無しにしてしまって、本当に申し訳ないわ」彼女は潤んだ目で私を一瞥し、そう言った。「小さい頃から心臓が弱いの。ストレスが発作の引き金になるって、お医者様にも言われていて。イーサンはいつも、私のことをとても心配してくれるのよ」
その声はか細かったが、部屋の隅々まで響き渡った。
『いつも心配してくれる』
『心臓が弱い』
一言一言が、彼女とイーサンには私には決して触れることのできない過去があるのだと、私に突きつけてくる。
「お二人は知り合ってどのくらいになるんですか？」と誰かが尋ねた。
「十六年ですわ」イザベラは甘く微笑んだ。「六歳の時、死にかけたことがあるんです。その時、イーサンが私の命を救ってくれました。それ以来、ずっと私の面倒を見てくれているんです」
十六年。
私がイーサンと知り合って、まだ三ヶ月だ。
「では、あなたと彼は……？」別の女性が、イザベラと私の間を意味ありげに見比べた。
「私たちは家族なんです」イザベラは静かに言ったが、その声は皆の耳に届いた。「言葉を超えた繋がりというものがあるんですの」
シャンパングラスを、砕け散るのではないかと思うほど強く握りしめた。彼女は実に賢かった――何も言わずにすべてを語り、イーサンの人生において本当の女性は自分なのだと、はっきりと示しているのだ。
イーサンは彼女の車椅子の横にひざまずいた。「気分はどうだ？ 胸の痛みは？」
「もうずっと良くなったわ」イザベラは手を伸ばし、彼の頬に触れた。「あなたは私のことを心配しすぎよ」
その優しい愛撫に、私は消えてなくなりたくなった。
一晩中、イーサンはイザベラのそばに付きっきりだった――水を運び、脈を測り、耳元で何かを囁きかける。では、私、正真正銘の花嫁は？ まるで透明人間にでもなったかのようだった。
深夜、最後のゲストが帰った後、私はウェディングドレスを脱ぎ、私たちの寝室で待っていた。
今夜は私たちの初夜よ。さすがに、話をしに来てくれるはず。
ドアが開き、イーサンが入ってきた。彼は寝間着に着替えており、今日一日で一番リラックスしているように見えた。
「今日はありがとう」彼はまるで、私が彼にちょっとした親切をしてやったかのように言った。
「それだけ？」私は彼を見つめた。「私たちの初夜に、あなたが言うことはそれだけなの？」
彼は部屋の向こう側にある椅子に腰かけ、距離を保った。
「俺たち二人とも、この結婚がどういうものか分かっているはずだ」彼の声は不気味なほど穏やかだった。「君は賢いから、ルールを理解できるだろう」
ルール。
それが、彼にとっての私たちの結婚だった。
「じゃあ、これがこれからの私の人生なの？」私は立ち上がり、彼の目を見据えた。「あなたがイザベラとままごと遊びをしている間、私はあなたの偽物の妻でいろってこと？」
「イザベラは病気だ。彼女には俺が必要なんだ」彼は有無を言わせぬ口調で私の言葉を遮った。「それは変わらない」
私は笑ったが、それはひどく壊れた音になった。
「そう」涙がこぼれ落ちる前に、私は目元を拭った。「おめでとう、イーサン。全部思い通りね。見せかけの立派な妻と、傍らには本物の愛人」
彼の表情に、何かが一瞬よぎった。「ソフィア……」
「でもね」私は彼が隠そうとしている罪悪感が見えるまで、すぐそばまで歩み寄った。「私は棚に飾っておけるような、ぜんまい仕掛けの人形じゃないの。これがただのビジネスだっていうなら、ビジネスとして扱いましょう。あなたに境界線があるの？ 結構よ。私にも私の境界線があるわ」
私はドアに向かった。
「どこへ行くんだ？」
私は振り返り、できる限り冷たい笑みを浮かべて見せた。「ゲストルームよ。自分の立場をわきまえなきゃ、でしょ？」
背後でドアを閉め、私はついに崩れ落ちるのを自分に許した。
これが、私の初夜。
愛も、尊敬も、人間としての最低限の良識すらない。
まだ二十四歳なのに。本当に、これからの人生をこうして過ごしていくの？
