第10章
その日の深夜、休もうとしていた矢先、屋敷の外から急ブレーキの音が聞こえた。
窓から覗くと、賢一が車から降りてくるのが見えた。足取りがおかしい。白いシャツに広がるどす黒い赤色が、私の心臓を止めた。
私は転がり落ちるように階段を駆け下りた。
ドアを開けると、彼は片手で壁をつき、もう片方の手で脇腹を押さえていた。
「貴方――」
「大騒ぎするな」
彼は遮ったが、声は弱々しい。
私は何も言わず、彼の腕を肩に回した。彼の体重がのしかかり、足がふらついたが、歯を食いしばってリビングまで支えて歩いた。
救急箱は二階だ。彼を座らせ、取りに走る。
戻ってきた時、彼はシャツのボタ...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
縮小
拡大
