第5章

さらに一時間が経過し、我々はついに目的地へと到着した。

神奈川県の小さな町、楢川山町。

江戸時代の伝統的な建造物が数多く残る、典型的な日本の田舎町だ。深夜にもかかわらず、通りは清潔で静まり返っている。

「前田由香はここのアパートを借りていました」

佐藤警部が前方にある古い建物を指差す。

「あそこです」

建物に近づくと、前田由香の部屋はすでに警察によって封鎖されていた。

「奇妙なことに」

佐藤警部が言う。

「大家さんの話では、前田さんは最近、向かいのあの建物の歴史を調べていたそうです」

彼が指差す方を見ると、そこには壮大な伝統的日本家屋が建っていた。

夜の...

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