第7章

眼前の光景が歪み、変化し始める……。

私は三千年前のこの洞窟を幻視した。石舞台の上では永遠に消えぬ炎が燃え盛り、空気中には神秘的な香りが満ち、無数の古人たちが地に跪いて敬虔に祈りを捧げている……。

そして、炎の背後の影の中に、巨大な影がゆっくりと浮かび上がった。

それは人の形ではなかった。もっと古く、もっと原始的な存在。

血肉の塊のような、おぞましい身体が暗闇の中で蠢いている。定まった形はないのに、無限の威圧感と力が感じられた。

突如、その血肉の塊から五本の指が伸び、私の指先にそっと触れた。

聞き覚えのある声が、脳内に響く。

『夏花……お前の呼び声が聞こえた……』...

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